飲食店はいつの時代も人員の定着がせず、人手不足と聞いて真っ先に思い浮かぶ業界。
飲食店と言っても、個人店・チェーン店・地域に根付いた戦略を取っているところなど様々です。
飲食店と多数取引をしてきた中で、アルバイトスタッフが辞めてしまう店と、辞めない店は何が違うのかを今日はお話していきたいと思います。
アルバイトスタッフが求めている事を知る

まず一番に考えるべきはこの「アルバイトスタッフは何を求めているのか?」を知る事です。
最近の20代は~とか、50代は使えないとか、そういった考えは全てレッテルで個人個人によってパーソナリティは大きく変わります。
お店が一番知りたい部分は、なぜアルバイトスタッフは辞めるのかを知る事なのですが、端的に言うとアルバイトにとって都合の悪い事があると、そのアルバイトスタッフは辞めてしまいます。
都合の悪い事とは何か?という部分に関しては、複数の要因があるため個別に考えていく必要がありますが代表的な例を挙げてみます。
休憩スペースの有無

休憩スペースの有無はアルバイトスタッフの士気に大きく関係します。
特に通し勤務など長い時間勤務をしなくてはならない日など、いちいち外に出なければならないとなるとかなり億劫になってしまいます。また、自店で休憩が取れないとなると考えられるのが心理面。
勤務時は大抵の場合、私服ではなく何かしらの制服を着るでしょうから、そのままの恰好で外に行く事を嫌がります。帽子着用の店であれば、髪の毛が崩れた状態で人に会いたくないというアルバイトもいると思います。
これが毎回の出勤で続くと嫌になってしまうという事が考えられます。
お店の中にそういったスペースを取れないという事もあるかと思いますが、仕切りやカーテンなどで仕切った空間があるだけでも大分変わります。他人の目線から外れるというだけで、精神的に休む事が出来ます。
初日の受け入れ態勢

初日の受け入れ態勢は本当に重要です。
アルバイトスタッフからすると、初めて会う人達と初めての環境で仕事をするわけですから、不安や緊張がいっぱいです。
お店としては初日出勤のアルバイトスタッフがいる日はシフトを厚めに組む事はもちろんの事、タイムテーブルを決めてしまう・作業領域を予め決めてしまう事をオススメします。
例えば出勤してから30分は店の説明→そのあと30分で着替え・手洗いなどの衛生面・スタッフと顔合わせ→その後1時間は洗い物→終わったら店内清掃・カウンターセット・・・など、スケジューリングしてスタッフにも見せてしまいましょう。
時間や作業内容が可視化される事で、アルバイトスタッフ自身の不安も少し和らいで作業に入る事が出来ます。また、作業領域を決める事についてはお客様との接客はしない・やる事がなくなったら洗い場に入るなど、事前に決めておくようなイメージです。
こういった事を決めておくだけで、アルバイトスタッフを放置してしまう可能性が少なくなり、定着率向上に繋がるはずです。
面接時と言っている事は違う事は当たり前と思ってください

面接の時は「土日出れます!」「通し勤務大丈夫です!」って言っていても、いざ勤務が始まったら「実は学校の用事で・・・」「本業が忙しくて・・・」などは日常茶飯事です。
こういったアルバイトスタッフに文句を言いたくなり、じゃあもう来なくて良い!と言いたくなる気持ちも分かりますが、アルバイトスタッフは抱えておいた方が絶対に良いです。
ご存知の通り、飲食店はアルバイト・パートスタッフの戦力化を如何に出来るかが重要です。
急な欠員はどれだけ気を付けていても起こるものなので、そういった時に一人でも声をかける事が出来るアルバイトスタッフがいれば、大分状況は変わります。
シフト面など面接時と違う事を言ってくるアルバイトはいるものとして、上手く人員コントロールを行ってください。
求めている意識の違いを知る

アルバイトスタッフの意識が、必ずしもお店側と一致するとは限りません。
働く以上はプロ、アルバイトも社員も関係ない。この意見はごもっともで私自身もそう思います。
しかし、アルバイトスタッフはそうは思っておらず、いちバイトとしての意識しか持っていません。
こんな事を言うとプロ意識を持って仕事をしているスタッフもいるという反論が聞こえますが、もちろんそういったアルバイトスタッフがいる事も承知しています。
しかし語弊を恐れずに言うと、多くのアルバイトスタッフはそこまで考えていません。
仕事をさせてくれと言ってアルバイトをしに来ているわけですので納得いかないかも知れませんが、そう思っておいた方が良いという一つの意見です。
この意見は悪い意味ばかりではなく、良い意味でも言っています。なんで出来ないんだ!ではなくて、出来なくて当たり前なのです。
そんなスタッフを育てて、一人前の戦力にしていく事が雇う側としての責務でもあります。
出来ない理由は必ずあり、得意不得意も人によって当然あります。
頭ごなしに「ダメ」「出来ないやつ」とレッテルを貼ったり、仕事を任せないという流れにしてしまうと人はやる気を失い辞めていきます。
どんなスタッフも居場所や必要とされれば、自発的に仕事をやるようになります。
アルバイトスタッフもちゃんと働きたい

アルバイトスタッフが辞めない店は、評価体制ややるべき仕事が明確になっていて、誰が見ても分かるような仕組み作りが出来ています。
飲食店は客商売なので、現場では計画した通りにいかない事の方が多く大変だと思います。
トラブルや予定通りにいかない事も想定した上で、スタッフ教育を進めていきましょう。
先に入っているスタッフのやり方を見て覚えろという時代ではなくなりました。
インターネットの発達・普及により、誰でも情報に簡単にアクセスが出来で、労働基準法についての知識なども今の世代は分かっています。
ひと昔前の精神論・根性論だけでは通じない時代です。
逆を言えば、労働基準法の遵守、残業代の支給、労働者の権利など守れていて当たり前の事をやるだけで良いのです。
アルバイトスタッフも人間ですから、大切にしてくれていると感じればお店の事も大切にしてくれます。
飲食業界の良いところは、何より人間対人間の気持ちの部分だと思っています。
将来的にサービスの仕事がAIに奪われると叫ばれて久しいですが、人間の持つ笑顔や気持ちなどはAIには決して出せない部分だと強く感じています。
良い店、作っていきましょう。




